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徒然草から

2009年2月6日

友とするにわろきもの七つあり。一つには高くやんごとなき人、二つには若き人、三つには病なく身強き人、四つには酒を好む人、五つにはたけく勇める兵(つわもの)、六つには虚言(そらごと)する人、七つには欲深き人。よき友三つあり。一つには物くるる人、二つには医師(くすし)、三つには智恵ある友。(第百十七段)

出家したとは言え、やはりお坊さんとして修行したわけではなく、貴族からの引退、脱俗なので吉田兼好にはどうも世俗の考えが抜け切れないところがあり面白い。 例えば友人にしたくないワースト7を見ると、1、身分が高く貴い人。2、若い人。3、病気の経験がない、頑強で丈夫な人。4、酒飲み。5、武勇にはやって功名をあげたがる武士。6、嘘つき。7、欲の深い人。友人に持ちたいベスト3は1、物を(気前良く)くれる人。2、医者。3、智恵のある人。

さてまずワースト7を考えて見ましょう。1、身分が高い人、今日で言うなら社会的地位、名誉がある人、ビジネスで成功した人か・・・。こういう人は弱い立場の人、失業した人の痛みが解らない人が多い。2、若い人全てが良くないと言っているのではない。時々いるけど、経験もないのに勉強や仕事でたたかれてきたことがない人で自信過剰で傲慢な人がいる。が、何かをやらせてみると何もできない。謙虚に学ぶことを知って欲しい。3、健康な人はやはり病気の人、ハンディーキャップを持っている人の痛み、苦しみが解らないことが多い。4、酒飲み。深酒に気をつけるという戒め。それとたまに酒のせいにして、酔っては傍若無人な振る舞い、言動をする人がいる。酒を飲まないと言えないのなら、言うな。と言いたいが、この手の人たちは自分の暴言、暴挙を酒のせいにしている。私も気をつけないと・・・。5、今日風にいうなら会社の出世、世の中の名声を目指す人たち・・・か。ギラギラしている人はやはり傲慢、横柄な態度になりやすい。6、嘘つき。と言っても、誰かれかまわず嘘をつくとしたら流石にその人は精神的に病気でしょう。寧ろ、この場合の嘘は、言ったこと、約束を守らなかったり、自分の言葉に無責任な人。7、欲深い人はそのままだが、意地汚い人も入るかも。見ていて「あさましい」なんて人に思われないように気をつけないと。

吉田兼好のワースト7はまあ良いとして、ベスト3の方がいかにも世俗的。1、物をくれる人。まあこれは矢沢永一氏((知識ゼロからの徒然草、2006年、東京、幻冬舎、)は時節にふさわしい贈り物をくれる人と、品の良い解釈をしています。まあしかし、困った時に物をくれる人、大盤振る舞いをする人など、ありがたい反面、だから友達付き合いをするのか?と疑問に思います。2の医者も同様。アメリカでは家族、親戚にいれば嬉しい職業人に医者、弁護士があります。何だかこれもいかにも・・・と言った感じです。3、智恵ある人。これは良いですね。困った時に本当に適切なアドヴァイスをくれる人、しかも偉そうにではなく、サラリと。何て言ったらなかなかいないかもしれませんね。

よくよく考えてみると、解脱してしまった人や、修道院に世捨て人として入ってしまえば、上述のような友人選びは必要ないわけで、吉田兼好の人生観、人間観は世俗的な色合いが残っているから面白いし、一般人、俗世に生きる人にとって役立つのでしょう。



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