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親のありがたさ

2006年4月1日

「親思う心に勝る親心」或いは「親思う心以上の親心」だったでしょうか、いずれにしても良い川柳だとつくづく思います。最近、正にこのような体験をしました。

 今年の1月にキリスト新聞社から「キリストの復活」レントからイースターへ、という題で説教集が出ました。現役の牧師やチャプレン20名が説教を寄稿し作られた本ですが、私の説教も載りました。今まで大学、大学院では多くの論文、小論文を書いてきましたが本という形にしたことはなく、今回はアカデミックな論文ではありませんが、自分の書いたものが初めて本に載るというのは嬉しいものです、たとえ二十分の一の比率とはいえ。

 出版されてしばらくして、2月下旬だったでしょうか、キリスト新聞社の担当の方よりメールを頂き「原稿料をお払いしたいのですが、どうしたら宜しいでしょうか。」とのこと。他の寄稿者は皆日本にいるので、為替、書留などで問題ないが、私のように海外にいると、国際為替にしても、銀行振り込みにしても円をドルに変えなければならず、手数料や時間を取られ結構面倒な作業をしなければならない。それに二十分の一の原稿料なので、わざわざお送り頂く額でもなく、かえって申し訳ないと思い、担当の方に「実家の王子北教会、吉松繁牧師宛にお送り下さい。」とお願いしました。実家の両親には何も言わずサプライズ(驚かせる、ちっとオーバーですが)の献金にしようと思っていました。何しろ、あまり親孝行らしいことをしたことがないので、初めての本の稿料を献金しようと思ったのです。 

 それからさらに一ヶ月程たった先週、父母から国際電話(国際電話なんてもう旧い表現ですね…)がありました。父曰く「数日前にキリスト新聞社からあんた(父はよく私や周りの者を「あんた」と言う)の原稿料が届いたから、母さんと相談して、あんたのビザの口座に振り込んでおいたよ。だからいつでも自由に引き出せるよ。」とのこと。私は「しまった!」と思いました。慌てて「お父さん、あれは王子北教会への献金の積もりだったんだけど…」と言ったところ「まあ、良いから。せっかくの稿料だし」と言って母に電話を代わりました。母も「あなたの分の献金はしておいてあげるから、自分の為に遣いなさいな。」と言って一件落着。

 最初から「献金に」と言っておいても、同じ結果になったかもしれません。しかし、私も今年四順目の年男。もう五十路も視野に入ってきた年齢ですが、いつまでも親には子どもなのです。本当にありがたいなぁと思わずにはおれません。神の愛も正に親心。子どもの為なら何も惜しまない。十字架に架かり私たちの罪を神に取り成してくださったキリストの愛も親の愛と同じ無私の愛です。

 問題はその愛を知った私たち、子、がどのようにそれを受け止め報いるかです。これは一人一人に問われています。皆さんは親孝行をしていますか? それとも、親不孝を重ねている? いかがでしょうか。



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