今更ながら心の教育

 このところ日本から伝わってくるニュースは青少年の極悪犯罪ばかりです。長崎で12歳の少年が4歳の児童を殺害したニュースや沖縄で14歳の少年が同年代の仲間に殺害され遺体が1ヶ月近くも隠されていた事件、他にも少年犯罪の著しい増加には愁うるものがあります。多くの評論家や心理学者、犯罪心理の専門家が様々なコメントをしており、そのどれもがある意味では正しいので、私がことさら事件に対してコメントを書くこともないと思います。しかしこれらの問題を見聞するにつけ、何か大切なものを忘れてきてしまった社会に問わずにはおれなくなります。その何かとは数字とか形に見えるものではない物「思いやり」とか「触れ合い」とか自己主張ではなく「他者を敬う心、姿勢」、つまり愛であり優しい心です。今更ながら「心の教育」の大切さを実感しています。

 初めてニューヨーク日米合同教会のサマーキャンプに参加したのが1981年。もう22年も前の話です。そのキャンプで受けた恵みが私の人生を変えました。私はキャンプという触れ合いの場の中で鮮烈な思いに打たれ教育を志しました。それ以来、ずっと数字や目に見える物ではなく成績で評価できない教育、心の教育を考え目指してきました。牧師になった今もその思いは変わりません。昨年(2002年)から教育学博士課程に籍を置いていますが、大学院に学ぶ現在もその思いを新たにしています。

 私がキャンプで学んだものは子供や大人という年齢に関係なく「他者と交わることの大切さ」と「キリスト教の愛を教えることの大切さ」です。近頃の傾向として、学校でも塾でも、近所でも同じ歳の子とばかり関わりあうことが多いように思います。或いはコンピューター・ゲーム、インターネットの発達で全く他者と交わらない青少年も増加しています。家庭にあっても核家族化が進み、特に都会では祖父母や自分の親以外の大人との交わりが無い家族が多くなっています。私は力による先輩後輩の関係が必ずしも良いとは思いませんが、歳の違う子達が交わり、上の子は下の子をいたわり、下の子は上の子を敬い頼るという関係が無くなりつつあるように見えます。

 小3から中3男女が参加したキャンプでは横の関係だけでなく上下の関係も様々な展開が見られ、共に何週間か過ごした子供たちは、大学生や大人のカウンセラーやディレクターも含め大きな家族のような関係になりました。22年経った今でも私は合同メソジスト教会のキャンプ運営委員をしたり、YMCAのキャンプに関わったりしていますが、それは忘れられつつある本当の教育=心の教育がそこにあると確信しているからです。

 今日の青少年の問題も、一部の先天的精神病或いは知的発達障害の子供たちを除き、この年齢を超えた交わりや分かち合いの中に解決の糸口があるのではないかと思うのですが、皆さんはどうお考えでしょうか。

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