美しい国日本と憲法第九条

 このところTV-Japan(NHK)を見ていると連日のように憲法第九条:戦争の放棄、軍備武力を持たない、をめぐる番組が放送されています。この九条は第二次大戦に敗れた日本が「二度と戦争を起こさないように」というアメリカの政治的圧力の下、に掲げられた条項と言われています。日本は連合軍が「天皇制を残す」ということや、本当なら日本が支配した中国や韓国などアジア諸国に支払う莫大な補償金免除という条件を引き出すことによって、この平和憲法を受け入れました。

 その成立の過程はともかく、一切の武力を放棄するという憲法は人間の歴史が始まって以来、類稀なる法律です。オリジナルではどこか他の国が攻めて来ても自衛すらしないという徹底した平和法でした。しかしこれに不安を感じた戦後の右派タカ派の政治家、総理大臣は何とかこれを改憲しようと躍起になってきました。一方、敗戦に懲りた人々、左派の政治家達はこれを守ろうと必死に右派に対抗してきました。その後国際政治の動乱の中で、残念なことに私が生まれた昭和30年代には保安部隊、そして自衛隊が作られました。が、なんとか戦争放棄、核廃棄だけは守られてきました。

 今再び安倍内閣でこの九条を変えて、武力を拡張し参戦できるようにしようという動きが活発化しています。なんと愚かなことでしょう。一方、安倍氏が首相になった折に「美しい国、日本」というスローガンを掲げました。教育を見直し、国を愛する心を養う・・・云々。その考えは右傾化しなければ決して間違った概念ではないと私は思っています。

  私はアメリカに住んでもう27年になりますが、長く住めば住むほど自分の日本人であることを見出し、日本人として祖国の文化、伝統をもっと誇りに思い大切にすべきと考えるようになりました。そして大切にすべきものに憲法第九条があります。たとえ始まりはお仕着せの憲法だったとは言え、今や世界に唯一の平和憲法であり、戦争放棄、軍備を持たない国などは日本以外どこにもありません。まあ自衛隊がありますので軍備を持ってしまい、その点では野蛮人の域を脱していませんが。

 本当の意味で美しい日本とはこの平和憲法を持っていることなのではないでしょうか。平和があるからこそ、伝統文化、工芸、芸術を謳歌できる。戦争放棄の法律があるからこそ、世界に平和を訴え、醜い争いを繰り広げている大国、小国に「待った!」をかけられる。

 日本がこの法律を失うことは歴史の逆行です。人類は武力闘争の無い未来に進んでこそ進歩、発展と言えます。何故なら戦、人殺しは人類の歴史が始まって以来、これまで無くなったことがないのですから。本当の意味で「美しい国、日本」を考えてみませんか。

 

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